エネルギーの歴史【全5回】⑤エネルギーと肥料で変わる食料生産の歴史

エネルギーと肥料は食料生産に欠かせません。江戸時代の日本では、太陽エネルギーと自然の肥料を使って食料を作っていました。

その後、鳥の糞が化石化した「鳥糞石」が登場し、食料生産が大きく変わりました。しかし、鳥糞石はすぐに無くなりました。

そこで新しい肥料が開発され、最終的には人工肥料が生まれました。これにより、世界の人口も増え、今の豊かな暮らしが実現しています。

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江戸時代の鎖国と食料自給:太陽エネルギーで支えられた3000万人の人口

01江戸時代、循環型社会 (1)

江戸時代後期、日本の人口はおおよそ3000万人でした。鎖国政策により、海外からの食料の調達はほとんどなく、自国のみで生活を賄っていました。

この時代の日本は、足元に降り注ぐ太陽エネルギーを主なエネルギー源とした完璧な循環型社会でした。

食物の生産には、糞尿や魚肥などの自然由来の肥料が使われていました。この限られた資源の中で、持続可能な生活を送っていたのです。
出典:藤木久志『江戸の農業と農村社会』 – 江戸時代の農業や生活様式に関する研究書

魔法の肥料「鳥糞石」で変わる食料生産とエネルギー利用

鳥糞石とは、鳥の糞が長い年月をかけて化石化したものです。

この鳥糞石をアメリカやイギリス、フランスが試しに肥料として使った結果、どの肥料よりも効果的でした。

これにより、衰えていた綿やタバコ、トウモロコシの畑が再び豊かになりました。

欧米諸国の間で鳥糞石を巡る争奪戦が始まり、ペルー政府はその輸出で大きな利益を得ました。
出典:ペルーの貿易投資年報

鳥糞石の枯渇と次の肥料「硝石」の登場:エネルギー資源の課題

鳥糞石は限りある化石資源であり、急速に使い尽くされてしまいました。

そこで新たな肥料として硝石が使われ始めました。硝石は鳥糞石ほどの効果はありませんでしたが、十分な肥料効果を発揮しました。

しかし、硝石も1940年代には枯渇すると予測されていました。

急増する人口を支えるには硝石だけでは不十分とされ、空気中の窒素を固定化する技術の開発が急がれるようになりました。

肥料の正体:窒素・リン・カリウムが食料生産に与える影響

04肥料の正体:窒素・リン・カリウム (1)

肥料の成分として重要なのは、窒素、リン、カリウムの3つです。

有機物を堆肥にしなくても、この3要素を直接投与することで、作物の成長を助けることができます。

リンとカリウムは鉱物資源からしか得られませんが、窒素は空気中に無尽蔵に存在しています。

このため、窒素を利用する技術の開発が進み、多くの国が競い合うようになりました。

第5次エネルギー革命と人工肥料:食料生産を支えるハーバーボッシュ法

05ハーバーボッシュ法 (1)

ハーバーボッシュ法は、水、石炭、空気から人工的に窒素を固定化し、肥料を作り出す技術です。

これを開発したフリッツ・ハーバーはノーベル化学賞を受賞しました。人工肥料の誕生により、世界的な人口爆発が起こりました。

もし人工肥料がなければ、現在の世界人口を支えることは不可能であり、私たちの生活も存在していなかったかもしれません。

まとめ:エネルギーと肥料で支えられる現代の食料生産と人口

人類の歴史を振り返ると、エネルギーの活用は次のように進化してきました。

第1次エネルギー革命では火の利用
第2次エネルギー革命では農耕
第3次エネルギー革命では蒸気機関
第4次エネルギー革命では電気の利用

そして第5次エネルギー革命が人工肥料です。

私たちの脳は、エネルギーの獲得に貪欲で、現代の生活はエネルギーの大量消費によって支えられています。

食料や肥料、そしてエネルギーが私たちの生活に欠かせない存在となっています。

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